おはようございます、マルです。
訪問看護をしていると、ときどきこんな場面に出くわします。
「これ、少ないけど…受け取って」
利用者さんやご家族が、“ありがとうの気持ち”でお金や品物を渡してくれる。
その気持ちは、本当に嬉しい。
でも、それ、制度的にはNGなんです。
■ なぜNG? ― 法律と制度の壁
利用者から直接お金や物品をもらうことは、
- 介護保険法
- 医療法
- 事業所の倫理規定
などで禁止・制限されている行為です。
✔ 「サービスの対価」ではなくても誤解を生む ✔ 贈与とみなされると、不正請求になる可能性も ✔ 「この人だけ特別」と思われると現場がギクシャク
つまり、“気持ちのやりとり”が、信頼を壊すリスクになるんです。
■ お金だけじゃない?グレーなライン
「現金じゃなければOKなの?」と思いますよね。
- ✔ コンビニ袋に入ったお菓子 → セーフ?
- ✔ 手編みの靴下 → 感動するけど…
- ✔ 交通費を渡される → むしろ気まずい
答えは「原則NG、でもケースバイケース」
事業所によっては「お菓子等はお気持ちとして受け取るが、現金は絶対NG」などのルールがあります。
重要なのは“公平性”と“制度上の説明がつくか”。
■ どう断る?やさしい言い回し3選
気持ちはありがたい。でも制度上受け取れない。
そのバランスが難しいので、断り方は超重要です。
- 「本当にお気持ちだけで十分です、ありがとうございます」
- 「会社のルールで受け取れないことになっていて…すみません」
- 「ほかのスタッフにもそうさせてもらってるのでご理解くださいね」
やさしさと制度を両立した断り方が、“プロ”の対応です。
■ おわりに:信頼は、“受け取らない”ことで守れる
「ありがとう」と言ってもらえる仕事。
でも本当のプロは、その言葉をお金に変えなくても、笑顔で応えられる人。
もらうことが「正解」じゃない。
もらわないことで築ける信頼が、きっとある。
今日はそんな訪問看護の“気まずくて、でも大事な話”でした。